キャッシュの配布

まず、おそらくShareの最大の特徴として認識されている強制拡散ですが、効果としてWinnyの中継転送と似ているというだけで、それを実現するメカニズムとして見るべき点はあまり無さそうに思えたので割愛します。
まず、キャッシュの扱いとして一番違う点を最初に上げておくと、Winnyでは不完全なキャッシュを自分が持っているだけでは、他の人にその保持情報を伝えません。ただし、また別のノードが完全なキャッシュを持っているという情報を得た場合には、ダウンロードで自分を中継させるようにし向けます。
この方法の利点は、部分的にしか持っていないキャッシュが補完されるようになっている事です。また、Winnyネットワークのどこにも完全キャッシュを持っていないにも関わらず検索では見つかってしまう、と言う事を避ける事ができます。
一方、部分的なキャッシュしか持っていないノードからも可能な限りかき集めるというのがShareの手法で、上記の優先度の違いも重なって、Winnyに比べてきわめて断片キャッシュが増えやすいという性質を伴っています。また、ファイルサイズの増大に伴い、近隣のノードだけでは断片を全部集められないというケースが増えると、なかなか集めきれない死蔵キャッシュで溢れてしまう事になります。
つまり、Winnyは効率よく「完全キャッシュ」を配布することを目的としていて、Shareは「少しでも入手できるキャッシュ量」を増やす事を目的としています。ネットワークの帯域幅や、キャッシュに必要なHDD容量の面から、どちらが無駄が少ないかは自明ですね。
Winnyが効率が良いなんて書いてしまうと、ISPさんから苦情が来そうですが、Shareとの比較では、と言う事になります。

あとは、Shareでは2GBの制限が撤廃されたため、そもそもファイルサイズ自体が増えている事も一応書いておきます。

ただし、これも重要な環境の変化として、HDDの高容量・低価格化というのを提示しておきます。系全体でのキャッシュ保持量の増加を考えると、完全キャッシュにこだわる必要が無くなった、とも言えるわけです。