最近のファイル共有動向について

お久しぶりです。
しばらく表舞台から遠ざかっていたのですが、昨年ぐらいから、動画などの大容量ファイルの情報共有システムに関して新しい動きがありますので、せっかくなので紹介してみようかと思います。

ご存じない方も多いかもしれませんが、実はこの新しい共有システムに関するトラフィックは既に日本のISPバックボーンの1割近くを占めるようになっています。まだ登場してから1年ほどしか経っていませんが、そう遠くない将来、WinnyやShareといった例えば漏洩した個人情報を消す事すらできないような旧来のファイル共有アプリケーションに取って代わるだろうと言う見方もあります。

さて、まずは特徴について述べておきます。

  • 二次配布者と一時配布者を区別しないデータ構造となっているため、たとえ自分のPCを捜索されたとしてもその区別が付かない
  • HTTPS等の標準プロトコルを利用しており、トラフィックシェーピングなどの影響を受けづらい
  • ネットワーク的な距離をもとにして情報が流れるため、ISPのバックボーン帯域を無駄に消費しない
  • ノード間は互いに相互監視をしており、有力なノードをより信頼する事で全体的な効率を向上させている

さて、この情報共有システムを特徴付けるものから特に一つを取り上げておくと、Direct Messageと呼ばれるIM機能があります。Winnyの開発当時においてもトリップなどの限定的な個人特定を実現しようとする試みがありましたが、特定のIDを持つ人にそれなりの信頼性でメッセージを送る事が可能です。惜しくもメッセージが届かないケースがあるようですが、これは今後改善されていくでしょう。

WinnyはアナログモデムとISDNからADSLに移ろうとする5年以上前のインターネットの状況に基づいていましたが、この情報共有システムは現在のネットワークやCPU資源に応じた実装となっています。まだまだこの分野には注目すべき動きが続いているようです。